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グラスの向こうの物語

産地、品種、ヴィンテージ

ワインを知るための言葉は
いくつもあります。

 

けれど私たちの心に残るワインには、
それだけでは語り尽くせない
何かがあります。

 

初めて口にしたときの驚き
訪ねた土地の風景
畑で交わした言葉
造り手の顔

 

そして、そのワインとの出会いから
始まった出来事

 

ヘルベティカが届けている
スイスワインにも、
それぞれに忘れられない
背景があります。

 

人生の行き先を変えたワイン
新しい一歩を踏み出す決意をくれた畑
湖畔に根づくぶどう
歴史の祝杯となったスパークリング
物語の原風景を思わせる村

ここでは、私たちが出会ってきた
ワインの中から、
五つの物語を綴ります。

人生を変えたメルロの白

赤ワイン用のぶどうとして知られる
メルロから白ワインをつくる。

ティチーノ州のワイナリー、セッテ・マッジオが
手がけるカナに初めて出会ったとき、
ひとくちで心を奪われました。

こんなワインが、スイスにある

けれど、驚きだけで終わるワインでは
ありませんでした。

 

メルロの豊かな果実味を感じさせながら、
白ワインらしい清らかさと軽やかさを併せ持つ。

 

「メルロは赤ワインになるもの」
という思い込みを、
鮮やかに越えていく一杯でした。

 

このワインをきっかけに、
もっとスイスワインを知りたい
と思うようになりました。

 

土地を訪ね、
造り手と出会い、
日本ではまだほとんど知られていない
ワインの世界へと足を踏み入れていく。

 

そしていつしか、
このワインを日本の人にも届けたい
という思いが芽生えていました。

 

振り返れば、
ヘルベティカへと続く道は、
この一杯から始まっています。

 

カナは私たちにとって
代表的なワインである前に、
人生の行き先を変えたワインです。

天啓を得た畑の
ピノ・ノワール

2018年、バーゼル近郊の町ムテンツ。

ヤウスリンのぶどう畑を
訪ねていたときのことです。

 

そのひとつ、ホーレガッセと呼ばれる
畑に立ち、目の前に広がる風景を
眺めていました。

 

ぶどう畑
その向こうに広がる町
土地に根を張り、
ワインをつくり続ける人たち

 

そこで不意に、
それまで心の中にあった思いが、
はっきりとした決意に変わりました。

 

スイスワインを、自分たちの手で日本へ届けよう。

 

長く勤めてきた会社を辞め、
ワインの輸入を仕事にする。

 

それは、その後の人生を大きく変える決断でした。

 

そして、まさにその畑の名を冠したワインが、
ホーレガッセです。

土地の名をそのまま背負ったワインを口にすると、
味わいだけではなく、
あの日立っていた畑の空気まで思い出します。

カナがまだ知らなかった世界への扉を

開いたワインなら、
ホーレガッセはその世界へ

踏み出すことを決めたワイン。

 

私たちにとって、ワインと人生が
ひとつにつながった場所の記憶です。

スイスワインの聖地から

レマン湖を望む斜面に、
ぶどう畑が連なる風景。

この土地で古くから育てられてきたのが、
スイスを代表する白ぶどう、シャスラです。

 

ル・ルレ・ペロワが生まれるのは、
レマン湖畔のペロワ村。

シャスラは、強く自分を主張するというより、
育った土地の個性を映し出すような品種です。

同じシャスラでも、
土地が変われば表情が変わる。

湖から届く光
畑の斜面
土壌
気候

 

そして、その土地でぶどうと
向き合ってきた人たちの時間。

 

グラスの中にあるのは、
ぶどうの味わいだけではありません。

 

スイスワインを知るほどに、
私たちは「どんな品種なのか」と同じくらい、
「どこで生まれたワインなのか」に
惹かれるようになりました。

ル・ルレ・ペロワは、
そんなスイスワインの楽しみ方を
教えてくれるワインです。

 

一杯を通じて、
まだ訪れたことのない土地の風景が少し近くなる。

 

ワインが土地を語るとは、
こういうことなのかもしれません。

女王陛下のスパークリング

ヌーシャテル州、モティエ。

 

かつて修道院だった歴史ある建物で、
200年近くにわたりスパークリングワイン
をつくり続けてきたメゾン・モレ。

その長い歩みには、
国賓を迎える歴史的な席に選ばれてきました。

1912年
スイスを訪れたドイツ皇帝ヴィルヘルム2世に。

そして1980年
スイスを公式訪問した英国女王エリザベス2世に。

モレのスパークリングワインは、
時代を越えて、特別な人を迎える祝杯として
グラスに注がれてきました。

私たちがこのワインを
「女王陛下のスパークリング」と呼ぶ理由も、
そんなモレの歴史にあります。

現在、その長い伝統を象徴するのが、
Cuvée Louis-Edouard。

中高の祖の名を冠した、
モレを代表する最高級キュヴェです。

きめ細かな泡の向こうに感じるのは、
華やかさだけではありません。

長い時間を積み重ねてきたメゾンならではの、
凛とした佇まい。

祝福の場にふさわしく、
それでいて決して華美に過ぎない。

そこに私たちは、
スイスらしい気品を感じます。

アルプスや牧草地だけではない、
歴史と文化を重ねてきた国としてのスイス。

この一杯は、
そんなもうひとつの表情を見せてくれます。

ハイジの里のワイン

山々に囲まれ、
なだらかな斜面にぶどう畑が広がるイエニンス村。

私たちはこの場所を、
「本家ハイジの里」と呼んでいます。

『ハイジ』の原作者ヨハンナ・シュピリは、
友人を訪ねてたびたびイエニンスに滞在しました。

そして、この村や周囲の山々の風景に
触れるなかで、のちに世界中で読み継がれる
『ハイジ』の物語の着想を得たと
伝えられています。

日本でスイスと聞けば、
ハイジの世界を思い浮かべる人も多いでしょう。

山々
牧草地
小さな村
自然とともにある暮らし

 

けれど、その同じ風景の中にぶどう畑が広がり、
ワインがつくられていることは、
まだあまり知られていません。

その村から届くワインが、イエニンサーです。

 

子供の頃から物語を通じて親しんできたスイスと
大人になってワインを通じて出会うスイス。

 

その二つが、
ひとつの村で重なります。

 

グラスを傾けながら、
かつてヨハンナ・シュピリが
心を動かされた風景へと思いを馳せる。

 

ワインを味わうことが、
その土地の物語へ触れることにもなる。

 

イエニンサーは、
そんな楽しみを私たちに教えてくれるワインです。

そしてまだ見ぬ物語へ

ここに綴ったのは、
ヘルベティカが出会ってきた
スイスワインの物語の一部です。


スイスには、
まだ知られていない土地があります。

その土地ならではのぶどうがあり、
そこでワインをつくる人たちがいます。


私たちもまた、
そのすべてを知っているわけではありません。

 

だから、これからも訪ねます。

畑を歩き、
造り手と話し、
グラスを傾ける。


そして心を動かされるワインに出会ったなら、
その味わいだけではなく、
そこにある風景や、人の想いまで日本へ届けたい。


ワインから、土地へ。
土地から、人へ。
そして、その先にある文化へ。


一杯をきっかけに、
まだ知らなかったスイスに出会ってもらえたなら。

それが、ヘルベティカが届けたい
「グラスの向こう」の世界です。

Beyond the Glass
ワインを通じてスイス文化を日本のみなさまへ

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